2024-01-05
相続財産に収益物件があると、相続人の決め方や家賃の分け方などがわからず、手続きに手間取ってしまうかもしれません。
そこで今回は、収益物件の相続人の決め方や家賃の受取人、売却する際の注意点などについて解説します。
名古屋市昭和区を中心とした16区、および名古屋市隣接エリアで収益物件を相続する可能性のある方は、ぜひご参考にしてください。
収益物件とは、定期的に家賃収入を得られる不動産のことです。
アパートやマンション、一戸建てなどの種類に関わらず、他人に貸して家賃収入を得ている不動産は収益物件に該当します。
収益物件を所有していた方が亡くなった場合は、だれが相続するかを決めなくてはなりません。
相続人の決め方は居住用の物件と同じく、遺言書の有無によって変わります。
そこで、遺言書がある場合とない場合の相続人の決め方を、それぞれ確認しておきましょう。
遺言書がある場合は、基本的にその内容にしたがって収益物件の相続人が決まります。
たとえば、長男に遺す旨が遺言書に記載されていた場合は、亡くなった方の長男が収益物件を相続します。
そのため、相続が発生したら、早めに遺言書があるかどうかを確認しましょう。
遺言書がない場合は、遺産分割協議をおこなって相続人を決定します。
遺産分割協議とは、相続人全員で話し合って、亡くなった方の財産の分け方を決めることです。
相続人全員が合意すると、収益物件の相続人が決定しますが、意見が分かれてしまうこともあるでしょう。
遺産分割協議が終わらないと遺産を分割できないので、話し合いが難航すると、相続税の申告や納税に影響が生じる可能性があります。
さらに、不動産の名義変更などに必要な遺産分割協議書を作成できず、さまざまな手続きが滞ってしまうので注意が必要です。
なお、遺言書がない場合の相続人の決め方には、収益物件を共有名義にする方法もあります。
共有名義にすると、それぞれが希望の持ち分で所有できるので、遺産分割協議がまとまらない場合の解決策として検討することもあるでしょう。
ただし、家賃収入の分配や管理費用の負担などの割合を決める必要があり、その際にトラブルが発生する可能性があります。
また、共有名義の不動産は、修繕や売却などの際に共有者全員の同意が必要な点にも注意しなくてはなりません。
そのため、今後のことを考えると、相続した収益物件を共有名義にすることは避けたほうが良いでしょう。
収益物件の家賃収入は、相続が開始したあとも発生します。
そのため、どこまでが相続財産に該当するのか、発生した家賃はだれが受け取るべきなのか、悩んでしまうかもしれません。
そこで、家賃の扱いや受取人を、発生の時期ごとに確認しておきましょう。
相続が開始する前の家賃は、亡くなった方の所得であるため、相続財産になります。
そのため、受取人は遺言書や遺産分割協議によって決まります。
なお、亡くなった日までの家賃収入は準確定申告が必要です。
準確定申告とは、相続人が1月1日から亡くなった日までの所得金額と税額を計算して、申告と納税をおこなうことです。
申告と納税の期限は、相続が開始したことを知った日の翌日から4か月以内なので、間に合うようにおこないましょう。
遺産分割成立の前後は考え方が少し複雑なので、しっかりと理解しておきましょう。
相続が開始してから遺産分割協議が成立するまでの家賃は、原則として相続人全員のものになります。
その理由は、新しい所有者が決まるまでの収益物件は、相続人全員が法定相続分による持分割合で所有している共有財産であるとみなされるからです。
法定相続分とは、法律によって定められた遺産の取り分のことです。
たとえば、相続人が配偶者と子どもの場合の法定相続分は、「配偶者2分の1、子ども2分の1」と決められています。
そして、家賃は法定相続分を基準に計算した金額をそれぞれ受け取るのが、基本的な考え方です。
ただし、この考え方は法律上の決まりではありません。
円満に遺産分割協議ができるのであれば、相続人で話し合って分け方を決めることもできます。
遺産分割協議が成立したあとの家賃は、収益物件の相続人のものになります。
この部分は、シンプルなのでわかりやすいでしょう。
相続開始後の家賃で注意が必要なのは、やはり遺産分割協議が成立する前の扱いです。
収益物件の相続人が決まったら、その方が遺産分割協議成立前の家賃も受け取るのだと思うかもしれません。
けれど、不動産と家賃は別の相続財産なので、それぞれの分け方を遺産分割協議によって決める必要があることを覚えておきましょう。
収益物件は、定期的に家賃収入を得られることが大きな魅力です。
けれど、空室が出て収入が減ったり、修繕などに高額な費用がかかったりすると、収支がマイナスになってしまうかもしれません。
もし、相続した収益物件の経営に不安を覚える場合は、売却を検討することもおすすめです。
相続した収益物件の売却には、いくつかの注意点があるので、とくに押さえておきたい3点を確認しておきましょう。
不動産売却によって生じた利益である譲渡所得には、譲渡所得税が課されます。
譲渡所得税の税率は売却した不動産の所有期間によって異なり、5年以下の場合は39.63%、5年を超える場合は20.315%です。
そのため、収益物件の売却によって譲渡所得が生じる場合は、5年を超えてから売ったほうが税金の負担を減らせます。
譲渡所得は、「譲渡価額-(取得費+譲渡費用)」の計算式で算出します。
譲渡価額は不動産の売却価格、取得費は不動産の購入費用、譲渡費用は不動産の売却費用を当てはめて計算しましょう。
なお、所有期間は不動産の売却日ではなく、売却した年の1月1日までを数えます。
相続した不動産の場合は、前の所有者がその物件を取得した日からカウントできるので、確認しておきましょう。
取得費加算の特例とは、相続税の申告期限から3年以内に相続した不動産を売却する場合に、支払った相続税の一部を取得費に加算できる制度です。
取得費が増えると譲渡所得が減少するので、譲渡所得税の節税につながります。
譲渡所得税は、場合によっては高額になることがありますが、先述した所有期間や特例の適用などによって節税が可能です。
収益物件の売却によって譲渡所得が生じる場合は、売却するタイミングをしっかり見極めると、税金の負担が軽減するでしょう。
相続した収益物件に入居者がいる場合は、売却の1年から半年前までに、立ち退き勧告をしなくてはなりません。
その際は、貸主側の都合であるため、立ち退きを強く迫らないように注意しましょう。
入居者がいると売却できないので、焦ってしまうかもしれませんが、立ち退きを強く迫るとトラブルになる可能性があります。
円満に退去してもらうためには、できるだけ早く入居者に告知し、しっかりと話し合いを重ねましょう。
収益物件の相続人の決め方は、遺言書がある場合はそれにしたがい、ない場合は遺産分割協議をおこないます。
相続した収益物件の経営に不安がある場合は、売却もおすすめです。
売却する場合は節税につながるタイミングを確認するとともに、できるだけ早く入居者に立ち退きを依頼しましょう。
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資格:宅地建物取引士 住宅ローンアドバイザー 電気工事士 危険物取扱者
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