2024-02-16
被相続人が残した遺言書によっては、法定相続人であっても遺産を一切受け取れないことがあります。
そのような場合は、遺留分を侵害されたとして遺留分侵害額請求をすることが可能です。
そこで、遺留分侵害額請求とはなにか、遺留分減殺請求権との違いと遺留分侵害額請求の方法について解説します。
名古屋市昭和区を中心に16区及び名古屋市隣接エリアで不動産を相続する予定がある方は、ぜひ参考になさってください。
遺言の内容が不公平であったり、特定の方に生前贈与がおこなわれていた場合、法定相続人であっても遺産を全く受け取れない可能性があります。
そのような場合は、遺留分を侵害されたとして、侵害した方に清算金を請求することが可能です。
ここでは、遺留分侵害額請求とはなにか、また請求できる相続人について解説します。
法定相続人には最低限の遺産を取得できる「遺留分」が認められています。
そのため、遺言などにより遺留分を侵害されたとして、遺産を受け取った侵害者へ返還請求をおこなうことができるのです。
その請求のことを「遺留分侵害額請求」と呼び、金銭での清算を請求することができます。
たとえば、相続人に長男・長女がいると仮定しましょう。
遺言には「長女へすべての財産5,000万円を相続させる」と記載してあるとします。
長女は遺産5,000万円をすべて相続することになり、長男には一切遺産を受けとることができません。
しかし、長男には遺留分が認められているため、長女に対して遺留分侵害額請求をすることができるのです。
法定相続人であっても、すべての方が遺留分侵害額請求をできるわけではありません。
請求できるのは、以下の法定相続人となる方です。
なお、兄弟姉妹や甥・姪は法定相続人であっても、遺留分は認められていません。
また、家庭裁判所にて相続放棄をした場合も同様に遺留分はありません。
なぜなら、相続放棄をすると、そもそも相続人ではなくなるためです。
たとえ法定相続人であっても、このように遺留分を請求できる方とできない方がいることに注意しましょう。
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2019年の民法改正により、従来の「遺留分減殺請求権」から「遺留分侵害額請求権」へと名称と内容が改正されました。
ここでは、民法改正によりどのような点が改正されたのか、違いを解説します。
1つ目の違いは、遺留分を侵害された相続人から請求があった際の「清算方法」です。
従来の遺留分減殺請求権では、原則として現物返還であったため、減殺請求をおこなうと「預金」「不動産」「株式」といった遺産そのものが返還されていました。
しかし、この方法ではトラブルになりやすいため、現行の遺留分侵害額請求では「現金のみ」と変更されました。
たとえば、不動産を返還した場合、相続人と共有状態になる恐れがあるからです。
共有状態になると、新たな相続が発生した際に相続人が増え、だるま式に共有状態が広がってしまいます。
そうなれば、不動産を活用したくても共有者全員の許可が必要など、さまざまな問題が出てしまうからです。
このようなトラブルを回避するために、現金のみと変更されました。
2つ目は、生前贈与の時期が定められているかどうかの違いです。
従来の遺留分減殺請求では、生前贈与の期間は設けられておらず、すべてが対象となっていました。
しかし、それでは何十年も前の古い生前贈与によって、遺留分を計算する際にトラブルになっていたのです。
そこで、遺留分侵害額請求では期限を亡くなる前の10年間と定められました。
3つ目の違いは、適用される時期です。
現行の遺留分侵害額請求権が適用されるのは「2019年7月1日以降」に発生した相続に限られます。
それ以前に発生した相続に関しては、改正前の遺留分減殺請求が適用されるため注意が必要です。
4つ目の違いは、支払い猶予があるかどうかの違いです。
従来は支払い猶予はなく、請求されれば即時に返還しなければなりませんでした。
しかし、改正後の遺留分侵害額請求では、支払い猶予が設けられるようになりました。
なぜなら、遺留分侵害額請求では現金のみでの返還となっているため、すぐに準備できるとは限らないためです。
そこで、現金をすぐに準備できない場合は、裁判所に一部もしくは全部の支払い期限の猶予を求めることができるようになりました。
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それでは、遺留分侵害額請求をする場合、どのような方法でおこなえば良いのでしょうか。
ここでは、請求方法を4つ解説します。
遺留分侵害額請求では、まずは相続人同士で話し合うのが一般的です。
この方法は、もっとも円満な解決が期待できる方法といえます。
その際、第三者である弁護士をくわえて話し合いをおこなえば、客観的な視点からスムーズな解決が望めるでしょう。
話し合いで合意が得られれば、合意書を作成し支払いを受ける流れになります。
話し合いにより解決できなかった場合は、内容証明郵便を利用し遺留分侵害額請求書を送ります。
遺留分侵害額請求は、相続の開始および遺留分を侵害する遺贈または贈与があったことを知ったときから1年以内と定められています。
そのため、この1年の期間が迫っている場合は、話し合いの途中でも内容証明郵便を送付しておくと良いでしょう。
内容証明郵便で送付しておけば、日付が記載され時効を止めることができるからです。
請求書の送付後は、相手と話し合い、合意が得られれば支払いを受けます。
内容証明郵便を送付しても解決できない場合は、家庭裁判所に「遺留分侵害額請求調停」を申し立てましょう。
調停では、調停委員が当事者双方の意見を聞きながら仲介をおこなってもらえます。
直接話し合うよりも公的な場での話し合いになるため、当事者が歩み寄りやすくなる傾向にあります。
調停案に合意できれば、調停成立となり支払いを受ける流れです。
調停でも解決できない場合は、地方裁判所にて「遺留分侵害額請求訴訟」を提起しましょう。
訴訟では、遺留分侵害の事実を証明する必要があります。
証明できれば、裁判所は遺留分侵害額の支払い命令を下すことになります。
また、相手が支払いを拒否した場合は、差し押さえすることも可能です。
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遺留分侵害額請求は、受け取れるはずの遺産を相続できない場合に、最低限の取り分とされる遺留分の請求を求めることです。
ただし、法定相続人であっても兄弟姉妹、甥や姪はそもそも遺留分がないため請求することはできない点に注意が必要です。
請求する場合は、相続人同士の話し合いから始めるのが基本ですが、請求には時効があるため早めに請求することをおすすめします。
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