2024-02-09
被相続人の生前に無償で財産の維持や増加などに貢献してきた場合、相続時に「寄与分」が認められる可能性があります。
寄与分が認められるにはさまざまな要件を満たす必要がありますが、ほかの相続人よりも多くの遺産を相続することが可能です。
そこで、寄与分とはなにか、認められる要件と特別寄与料について解説します。
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相続人のなかには、被相続人の生前に深く貢献していた方もいらっしゃるのではないでしょうか。
そのような場合に、貢献の度合いに応じて「寄与分」を上乗せして相続できることがあります。
ここでは、寄与分とはなにかについて解説します。
被相続人の相続財産の維持・増加に貢献した際に、貢献の度合いに応じて相続分をプラスできる制度を「寄与分」といいます。
本来であれば、法定相続分に従って遺産を分割します。
しかし、被相続人の生前に財産の維持や増加に特別に貢献していた場合、その相続人は法定相続分で公平に分割されることを不満に思う方も多いのではないでしょうか。
そこで、ほかの相続人との公平を図るためにできた制度が寄与分です。
寄与分が認めらえれば、相続分を増やすことができます。
ただし、寄与分は自動的に付与されるものではありません。
付与してもらうには、ほかの相続人に対して請求する必要があります。
なお、相続人との話し合いで同意が得られない場合は、裁判所に申し立てをおこない調停での解決を目指します。
寄与分の主張が認められた場合は、遺産分割はどのようにおこなわれるのでしょうか。
寄与分がある場合は、以下の手順で遺産分割することになります。
たとえば、相続人は長男と長女で、3,000万円の遺産があったとします。
長女は、長年にわたって被相続人を自宅介護し、財産の維持に貢献してきました。
そして長女は「寄与分として500万円」を主張し、その主張が認められたと仮定します。
この場合、上記の手順で計算すると「3,000万円-500万円=2,500万円」とみなし遺産が算出できます。
この2,500万円を法定相続分に従って分割しなければなりません。
法定相続人は長男と長女であるため、それぞれ2分の1ずつ相続するため「2,500×1/2=1,250万円」です。
次に、寄与分が認められた長女は500万円が上乗せできるため「1,250万円+500万円=1,750万円」となります。
つまり、長男は1,250万円、長女は1,750万円を相続することになります。
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寄与分は請求すれば必ず認められるわけではありません。
主張するには要件を満たす必要があります。
以下の5つの要件を満たしている方が対象となります。
①相続人であること
寄与分が請求できるのは、原則として相続人のみです。
そのため、相続人以外の親戚や友人が生前に貢献・援助していたとしても請求することはできません。
しかし、相続人と近い関係性のある配偶者などは、特別に認められることもあります。
②財産の維持や増加に貢献した経緯がある
寄与分が認められるには、被相続人の財産を維持したり増加に貢献した経緯がなければなりません。
たとえば、毎日つきっきりで介護や看護にあたり、その結果、医療費を抑えることができたような場合です。
このような経緯がある場合は、因果関係がわかる資料や日記などを示すことができれば望ましいでしょう。
③特別な寄与をおこなった
期待される以上の特別な寄与をおこなっていたかどうかも重要になります。
たとえば、日常生活において必要な食事の準備や身の回りの世話などは、扶養義務の範囲内と判断され認められないことが多いでしょう。
ただし、実際ははっきりとどの程度と定められているわけではありません。
そのため、相続人同士で話し合っても、話がまとまらないケースも多くあります。
④無償で貢献していること
金銭をもらわずに無償で貢献していることも要件の1つです。
たとえば、被相続人の事業を手伝っていた際に、金銭を受け取っていた場合は認められないため注意しましょう。
⑤一定期間以上貢献していること
一定期間にわたって貢献していたかどうかも重要です。
数日間のみといった場合は、認められない可能性があります。
ただし、この「一定期間以上」についても定まった定義はないため、相続人での話し合いによって判断されることになります。
寄与分として認められる主な行為は、以下の5つの型に分類されます。
上記は、寄与分が認められる主な行為ですが、それぞれ金銭的なものを受け取っていないことが条件となっています。
寄与分の時効は以前はありませんでした。
しかし、2023年4月に民法が改正され「相続発生から10年以内」と請求期限が設けられました。
10年を経過すると、寄与分は認められず法定相続分どおりに分割することになるため注意しましょう。
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相続人以外の方が、被相続人の生前に貢献していたケースもあるでしょう。
そのような場合、2019年の民法改正により一定の条件を満たせば「特別寄与料」を主張できるようになりました。
まずは特別寄与料とはなにか、また主張できる方や注意点について解説します。
特別寄与料とは、相続人以外の方が被相続人の生前に特別な貢献をしていた際、その対価として金銭などを請求できる制度のことです。
たとえば、被相続人の子の妻が被相続人を献身的に介護していて、財産の維持などに貢献していたようなケースです。
この場合、被相続人の子の妻は相続人ではないため、通常であれば寄与料は認められません。
しかし、民法改正により、相続人の妻など6親等内の血族、3親等内の姻族とされる親族は、特別寄与料として認められるようになりました。
特別寄与料を主張するには、期限内に家庭裁判所に申し立てる必要があります。
期限は、相続の開始および相続人をしったときから6か月以内、および相続開始から1年以内です。
寄与料の請求と違い請求期限が短い点に注意しましょう。
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被相続人の生前に特別に貢献していたり、事業を手伝っていたりした場合、相続時に寄与分として相続分以上の財産を相続できることがあります。
ただし、認められるには財産の維持や増加に貢献していることや、金銭を受け取っていないことなどが要件となっています。
また、相続人の配偶者など相続人以外の方でも生前に同様に貢献していれば「特別寄与料」を受け取れる可能性があるでしょう。
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